「秀政は、そのオワリの者なのか?」


「ああ、そうだ」


「オワリに、帰るから?」


「無論お前は今すぐでなくとも良いのだ。尼御前さまのお傍にいたいならそれでもいい。行くか行かぬかは、お前が決めることだ」


わたしは彼の浅黒く焼けた顔を見つめた。


精悍でいて、優しい。


彼がいるなら、知らない場所も怖くはない。


そう思った。



『秀政とオワリに行く』



そう言おうと口を開きかけた時だった。


突然、茶室の障子が 勢いよく開けられたのだ。


そして。


「秀政、帰るぞ!」


障子が揺れんばかりの大きな声。


わたしは耳を押さえながら声の主を見た。



その瞬間。


わたしの心の中を風が吹き抜けた。