【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「今日はお客人がいらっしゃるわ」


食後白湯を飲みながら、尼さまがそう言った。


「お客人?また急な話ですね」


昨日はそんなこと一言も言ってなかった。


「文は頂いていたのよ。だけどあなたを驚かせたくて…」


尼さまのつぶらな瞳が悪戯っ子のような光を浮かべている。


いつもは楚々としている尼さまだが、時折子供のような茶目っ気を見せるのだ。


「わたしが驚く……ということは、わたしの知っている人なんですね」


「それもあるけど、もっとびっくりするわよ」


くすくす笑う尼さま。


わたしが驚く様を想像しているに違いない。


でもこの時わたしは、客人が誰かだいたい察しが付いていた。


なぜならわたしが知っている尼さま関係の人間など、ごく限られているのだから。