【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「それで、あなたはますますやる気になられたと、そういうことですか?」


まだ何やらぶつぶつ言っている男を尻目に、尼さまはわたしに尋ねた。


「ますますというわけではないけど、何も知らないよりは知ってたほうがいいかな、とは思うよ」


「その気持ちが大切です」


そう言うと尼さまは何やら考え込んだ。


そして満面の笑みでこう言った。


「そなたに名を授けねばならぬな」


「な、ですか?」


「そう、以前はなんと呼ばれていたのかは知らぬが、新しい名で新たな生を生きる。それも良いであろう?」


「なるほど」


ようやく気を取り直したらしい男も賛同した。


「名、ですか……」