【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「まあ、随分秀政どのが不機嫌でいらっしゃると思ったら、そういうことだったのね」


尼さまは呆れたようにそう言った。





降り積もった雪を掻き分け、北山に戻って来たのは一刻程前。


それからすぐに尼さまを交えて話し合った。


話しの最中、尼さまの表情はころころ変わった。


最初わたしたちの気持ちが通じ合ったのだと知ると、気色満面の笑顔で涙まで流したのだ。


けれど、わたしが尾張に行かないという下りになったら、途端に表情は曇り溜め息ばかりをついている。


「迦陵の気持ちも分からないではないけど……」


溜め息をつきながら、その言葉ばかりを繰り返していた。