【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

夜が白々と明ける頃、わたしたちは抱き合いながらまどろんでいた。


「そろそろ起きなきゃ」


「ん……」


「北山まで送って行くよ」


気だるげに起き上がり、着物を身に付けている秀政の背中に、わたしは話し掛けた。


「わたし、尾張には行けない」


秀政がぴくりと肩を震わせ動きを止めた。


「ここで、やりたいことがあるの。身寄りのない子を助けたいの。わたしみたいに、飢えて行き倒れることのないように。そんな子供が減るように。頑張ってみたいんだ」


「……」


再び手を動かし始めた秀政だったけれど、返事はなく無言だった。


「また会おうと思えば、いつでも会えるよ」


「会えないよ」


秀政は激しい口調で言った。