【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

あれほどこの世からいなくなってしまいたいと思っていたのに。


わたしは今生きようとしている。


その気持ちに呼応するかのように、体もめきめきと回復していった。


人の体というのは不思議だ。


どうして辛い『生』を選ぶのか。



わたしは一度死に、これから新たな生を刻むのだ。


この先のことなど何ひとつ分からないというのに……。










尼さまはもちろん、あの浅黒い肌をした男も、何が面白いのか、頻繁にわたしの様子を窺いに来る。


わたしでなく、尼さまに会いに来てるのか?


分からないけど、わたしは彼の訪れを心待ちにするようになっていた。