【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「ねねさまに殿が迦陵を連れ去ったと聞いた時」


「うん」


「正直もうだめだと思ったよ」


「どうして?」


「殿は欲しいと思えば何でも手に入れてしまわれる。国でも城でも。
落ちなかったのはお前くらいじゃないかな」


「ふふふ。そうなの?」


そう言うと、秀政の眼に真剣な光が点った。


「落ちなくて良かった」


「秀政……」


「さっき、殿に触れられた?」


「え?」


「どこを触られた?」


「そ、そ、そんなの恥ずかしくて……」


わたしは首を振ったけど、秀政は苦しげに眉根を寄せながら、親指でわたしの唇に触れた。


「ここ?」


「う……だったかなあ」


ごまかしようもなく、けれど曖昧に答えた。


すると秀政は指を外し、ゆっくり顔を近付け、口付けを落とした。