【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

ぼんやりとした明かりの中で、わたしたちはお互いを見つめていた。


言葉を交わさなくても、ふたりの間をいろんな思いが行き来していた。


蝋燭の明かりだけだと、いつもよりも顔の陰影が濃くなって、秀政がさらに格好よく見えて、わたしはにわかにどきどきしてきた。


「迦陵」


「なに?」


「殿に……惹かれていた?」


秀政が不安げに瞳を揺らしたように見えたのは、蝋燭の揺らぎのせいだけじゃない、きっと。


「初めて信長さまに会った時、すごく心が騒いだの。嵐のような強い風が吹いて、苦しくて。この人は特別なんだって感じた」


「……」


「でも」


「でも?」


「信長さまは確かに特別な人だけど、それは皆がそう感じることじゃないかって気付いたの」