しばらくして秀政は帰ってきた。


ほっとして、笑顔で彼を迎えた。


「今お前の顔は見たくないって言われたよ」


秀政は複雑そうな顔をしていた。


元は小姓としてもっとも信長さまの近くにいた彼は、当然忠義心も強い。


こんな形で何となく殿との間に溝が出来てしまったことが悔やまれるのだろう。


わたしは「ごめんね」と謝った。


その原因を作ったのはわたしだと、如何にわたしでも察しがつく。


「何故、迦陵が謝る?」


「だって……」


「お前が気に病むことは何もない。……明かり付けないのか?」


「ああ、なんか暗い方が落ち着くから」


「付けていいか?これでは話し辛い」


「うん」


ぽっと小さな明かりが付いた。