【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

あの笑顔だけで、この人が悪い人ではないということが何となく分かってしまった。


疑うこともせず、彼のあとをついていく。


あまり広くもない屋敷なのか、数回廊下を曲がっただけで目的の場所に着いたらしい。


障子の隙間から蝋燭の部屋の前で、前田さんが立ち止まった。


「ここだ」


わたしを振り返り、またにかっと笑うと、前田さんは障子の前に跪いた。


「お連れしました」


「うむ」


障子の向こうから聞こえてきた声に、わたしは首を傾げた。


(あれ……これって……)


今引き返すべきじゃないか。


そんな思いが脳裏を過ぎった。


でも、前田さんに逆らえる雰囲気ではなかった。