「随分、うなされていたな?」 尼さまの声ではなかった。 低く、凛とした、男の声だった。 わたしは覚めたばかりのしょぼしょぼする目を、その人に向けた。 浅黒く焼けた精悍な顔に似つかわしくないほど、優しいまなざしをした男だった。