【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

視線の先に、馬にまたがる信長さまの姿があった。


長身痩躯の信長さまは、堂々と辺りを払うような殺気まで帯びて、馬に揺られている。


(やっぱり素敵だな……)


わたしは足を緩めた。


もう街道は目の前だったし、何となく信長さまに見つかるのが怖かった。


わたしは信長さまを拒絶したのだから。


今もまざまざと甦る信長さまの熱い口付け。


わたしは心なし顔を赤くしてしまった。


(やだ……わたしったら……)


初めての口付けだったんだから、と言い訳してみる。


その時だった。


わたしはドーンと誰かに突き飛ばされ、畔から田んぼへと転がり落ちてしまった。


市女笠は吹っ飛び、わたしの顔は露になってしまった。


(ど、どうしよう。信長さまがいるのに)


わたしは焦って袂で顔を覆ったけれど、誰か知っている人に見られていないとは限らない。


わたしは突き飛ばされたことよりも、そちらの方が気掛かりだった。