しばらく唖然としていた女は、急ににやりと下卑た笑いを浮かべると、足早にわたしに近付いて来て、片手をすっと目の前に差し出した。
「あの……?」
「教えてやってもいいけどねぇ。まさかタダって訳じゃないんだろ?」
「……お金、ですか?」
「当たり前だろ。こっちは話したくもないことを話すんだ。それに見合った礼を貰わなきゃ、話し損だよ」
もう話しなんか聞かなくていい。
こんな女の口から、母親のことなんて聞きたくない。
そう思いながらも、わたしは懐から巾着を取り出していた。
女は催促するように手を上げ下げしている。
けれどわたしが巾着を開けようとした時、にわかに街道の方がざわざわと賑やかになったのだ。
わたしは巾着を開ける手を止め、そちらに顔を向けると、先程話しを聞いた若夫婦も家の外に出て来たところだった。
「あの……?」
「教えてやってもいいけどねぇ。まさかタダって訳じゃないんだろ?」
「……お金、ですか?」
「当たり前だろ。こっちは話したくもないことを話すんだ。それに見合った礼を貰わなきゃ、話し損だよ」
もう話しなんか聞かなくていい。
こんな女の口から、母親のことなんて聞きたくない。
そう思いながらも、わたしは懐から巾着を取り出していた。
女は催促するように手を上げ下げしている。
けれどわたしが巾着を開けようとした時、にわかに街道の方がざわざわと賑やかになったのだ。
わたしは巾着を開ける手を止め、そちらに顔を向けると、先程話しを聞いた若夫婦も家の外に出て来たところだった。

