間違いない。
きっとそのきぬがわたしの母親だ。
でも、もう亡くなっているって……。
わたしは少なからず衝撃を受けながら、その家を後にしたのだった。
裏に廻るとすぐに、先程の家よりもずっと小さな、家というよりも小屋と言った方が良いような建物があった。
わたしは迷っていた。
ここでこの家に入ったとしても、きぬはもういないのだ。
もうすでに縁がなくなっている家だ。
しかも、きぬのことはなかったことにしたいらしいと先程の老女が言っていた。
そんな所にわたしが行っても迷惑なだけではないだろうか。
ここでわたしはきぬという母親から産まれた。
それだけで、もう十分なのではと思えてきたのだ。
敷地の入口で逡巡していると、急に戸口ががらっと開いた。
はっとして顔を上げると、出てきた初老の女と目が合った。
互いにしばらく見つめ合ってしまった。
きっとそのきぬがわたしの母親だ。
でも、もう亡くなっているって……。
わたしは少なからず衝撃を受けながら、その家を後にしたのだった。
裏に廻るとすぐに、先程の家よりもずっと小さな、家というよりも小屋と言った方が良いような建物があった。
わたしは迷っていた。
ここでこの家に入ったとしても、きぬはもういないのだ。
もうすでに縁がなくなっている家だ。
しかも、きぬのことはなかったことにしたいらしいと先程の老女が言っていた。
そんな所にわたしが行っても迷惑なだけではないだろうか。
ここでわたしはきぬという母親から産まれた。
それだけで、もう十分なのではと思えてきたのだ。
敷地の入口で逡巡していると、急に戸口ががらっと開いた。
はっとして顔を上げると、出てきた初老の女と目が合った。
互いにしばらく見つめ合ってしまった。

