【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

山科は雪がちらついていた。


これは一泊している場合じゃない。


雪が積もれば峠が越せなくなってしまう。


早く『きぬ』を見つけたいけど、どこから手を付けていいものか。


わたしはとりあえず目についた家家に聞いて回ることにした。


田が多く、戸数としてはそれほどでもないからそう考えたのだけど、わたしはすぐにその方法を取ったことを後悔した。


聞けども聞けども、『きぬ』を知る人には行き会わない。


朝から歩き通しで、わたしはかなり疲れていた。


「どうしよう。もう帰ろうか」


そんな風に弱気になってきて、わたしはとうとうその場に座り込んでしまった。


けれど地面は冷たく、そう長く座っていられるものでもない。


仕方なく立ち上がり、また歩きはじめた。