「これ……」
紙を開くと、そこには綺麗な文字で何かが書き連ねてある。
「こんなものが入っていたなんて、知りませんでした」
幼いわたしはお守りなんぞに興味はなく、ぞんざいに扱っていたから、だから婆さまも見かねて着物に縫い付けたのだった。
当然中に何が入っているかなど知ることもなく、これは初めて見るものだった。
「書いてあることを、今のあなたなら読めるでしょう?」
「待ってくださいね」
それは仮名ばかりで書かれていたので、わたしでも判読できそうだった。
『やましな きぬ
より
ごじょう すが へ
あかごのな すず 』
「きぬ……すが……すず……」
並べられた名。
記憶のどこにもないけれど、何故か胸に迫るものがあった。
「おそらく、すずというのがそなたの本当の名前だわ」
少しでもわたしの身元が分かるものはないかと調べている時にこの紙を見つけた尼さまは、方々に手を尽くして調べていたのだという。
わたしが尾張に行っている間も探しつつけ、つい先日、この辺りの寺の無縁仏の中に『すが』という名があることを見つけたのだった。
紙を開くと、そこには綺麗な文字で何かが書き連ねてある。
「こんなものが入っていたなんて、知りませんでした」
幼いわたしはお守りなんぞに興味はなく、ぞんざいに扱っていたから、だから婆さまも見かねて着物に縫い付けたのだった。
当然中に何が入っているかなど知ることもなく、これは初めて見るものだった。
「書いてあることを、今のあなたなら読めるでしょう?」
「待ってくださいね」
それは仮名ばかりで書かれていたので、わたしでも判読できそうだった。
『やましな きぬ
より
ごじょう すが へ
あかごのな すず 』
「きぬ……すが……すず……」
並べられた名。
記憶のどこにもないけれど、何故か胸に迫るものがあった。
「おそらく、すずというのがそなたの本当の名前だわ」
少しでもわたしの身元が分かるものはないかと調べている時にこの紙を見つけた尼さまは、方々に手を尽くして調べていたのだという。
わたしが尾張に行っている間も探しつつけ、つい先日、この辺りの寺の無縁仏の中に『すが』という名があることを見つけたのだった。

