【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

でも尼さまは平然と、

「そなたは生きなくてはならぬ」

と言ったのだ。


訳が分からない。


いっそこのまま命がなくなれば、どんなに楽かしれないというのに。


尼さまは「生きろ」と言う。



乞食のわたしが?


食うものにも、寝る場所にも困るわたしが?



これ以上生を紡いでどうなるというのか。



そんな生に、なんの意味があると、この尼さまは言うのだろう。



わたしのそんな問いを分かっているかのように、尼さまはわたしの頭を優しく撫でながら、


「生きている。それだけで良いのです。それ以上もそれ以下もない。息をし、目を開き、物を食べ、手足を動かす。それだけで良いのです」