☆裕★



今日も宮様(特に聖宮)に追いかけまわされ気がつけばもう10時をすぎていた。


なんとか家路につく事が可能になった俺は頑張って歩く。



つーかあいつらなんなんだよ。


なんでポルシェとかビーエムとかフェラーリとかで追いかけてくるんだ。

ハイオクがもったいねぇ…



そうブツブツ1人ごとを言いながら歩いていると、芹沢本家をのぞき込んでいる女が1人。



…いや、女にしちゃちょっと服装が…



もしかしてあれ、海乃か?



なんだか怒りのオーラをまとっている。




「海乃…?」




そう呼び掛けてみると、迷子の子犬みたいな顔して俺を見た。


なんだ?


俺はそんな趣味無いぞー。(もはや限界)




「…きの…が…くなるそうです。」


「……は?」




もう一度海乃は同じ事を言ったが、疲労で聴力が落ちていてよくわからない。




「わ、わりぃ、聞こえな…」


「真希の、右目が、見えなくなるそうです…」




そう言って、海乃は自嘲気味に笑った。



だけど、俺には、男だけど、傷ついた天使が自分の無力を笑っているように見えた。



極めて、残酷に。