ポンと勢いよくソファーから跳ね上がり、そのまま熱唱中の秋の背中を踏み台にジャンプ。
私の鼻先が天井につく寸前に体を180度ひねると、ポカンと見上げる新日本プロレスのシャツを着た男と目が合った。
まるでスローモーションのように長い時間、男の視線は宙に浮く私のことを追い続けた。
だから、私はニヤリと笑った。男も釣られて顔を引きつらせた。
〈その首もらった〉
私の両脚は男の首をガッチリと挟み込み、そこを軸として一気に上体を後ろへ反りかえした。
テコの原理だ。体重差なんて関係ない。男の身体がフワリと浮いた。
「ちょ、待て」と男は呻いた。
悪いが待てない。
回転する私。回転する男。
首を私の脚に挟まれた男は、ちょうど前宙返りするように見事なほど美しいフォームでクルリと廻った。
技の美学は受身の美学。
私の脳裏にそんな言葉が浮かんだ。正直少しくやしい。こんなに狭い場所でここまで綺麗に技が決まった理由が、自分ではなく、男のセンスに頼っている気がした。
派手にガラステーブルをぶち破り男の頭部は床にめり込んだ。
まぁ、こんな姿を見せられたら受身の美学も何もないのだが。
私の鼻先が天井につく寸前に体を180度ひねると、ポカンと見上げる新日本プロレスのシャツを着た男と目が合った。
まるでスローモーションのように長い時間、男の視線は宙に浮く私のことを追い続けた。
だから、私はニヤリと笑った。男も釣られて顔を引きつらせた。
〈その首もらった〉
私の両脚は男の首をガッチリと挟み込み、そこを軸として一気に上体を後ろへ反りかえした。
テコの原理だ。体重差なんて関係ない。男の身体がフワリと浮いた。
「ちょ、待て」と男は呻いた。
悪いが待てない。
回転する私。回転する男。
首を私の脚に挟まれた男は、ちょうど前宙返りするように見事なほど美しいフォームでクルリと廻った。
技の美学は受身の美学。
私の脳裏にそんな言葉が浮かんだ。正直少しくやしい。こんなに狭い場所でここまで綺麗に技が決まった理由が、自分ではなく、男のセンスに頼っている気がした。
派手にガラステーブルをぶち破り男の頭部は床にめり込んだ。
まぁ、こんな姿を見せられたら受身の美学も何もないのだが。