内科、整形外科、肛門科……、その組み合わせに大いに違和感があるが、頭の隅に追いやり、入り口に向かう。

『なんで?』

 開口一番に出ていてもおかしくはない言葉だ。

 並んでいるのだ。お爺さんにお婆さん。その他もろもろ。わいわいガヤガヤと列を作っている。

『やれやれ……』

 仕方なく最後尾に並ぶ。美和は七番目だ。

 体の具合いの悪い時に並ぶのは、正直辛い。開店セールに並ぶのとは事情が違う。

 時計を見る。後、三分。

 ガラス扉は卵の黄身色のカーテンが引かれており、中は見えない。

『早くして』

 時計を見る。後、二分。

「ごめんね、ありがとう」

 どこからともなく現れたオバハンが、美和の前に割り込み、前にいたおばさんから買い物かごを受け取る。

 えっ? 、と思っている美和に気付いたのか、振り向き、トイレ行きたくなってな、と言い訳する。

 割り込みに口を尖らせると、オバハンは美和を無視して、前のおばさんと談笑を始めた。

 聞きたくもなかったのだが、否が応にも耳に入る。

「あたしね、ヒザが痛くて痛くて。もう痺れてきたわ」

 オバハンは膝が痛いらしい。しかし、痺れてるんなら、痛みを感じないんじゃないのか? 、ひとり美和は突っ込む。

「なかなか治らへんねん。ここ、ヤブ医者ちゃうか」

 ──文句があるなら、別の病院に行きなさい。その方が一人減って都合が良い……などと、美和はまた心の中で毒付く。

 時計を確認する。後、一分。