「ありがとう」


そう呟いた賢杜の声は、ひどく掠れたものだった。


それでもその中に諦めや絶望はなくて、どこか少しだけホッとしたかのような響きがあって、俺はなぜかわからぬままなんとなく安堵していた。


「良かったね」


気付いたら俺はそう言っていた。

何が良かったのかわからないし、良かったのかどうかもわからないが、なんとなくその言葉がしっくりしているような気がして。


賢杜がこちらを見てかすかに微笑んだのがわかった。



瑠唯の場面が終わり、画面が切り替わる。


プツンとテレビが消え、呪縛からとけたかのような賢杜がリモコンを手にしていた。