俺の視線に気づいたようで、佐久浪はちょっと恥ずかしそうにしたあと、今度は大人しく映画の続きを見ていた。 俺は声ひとつ出さなくなった佐久浪から映画に視線を戻した。 思考は映画から離れ、佐久浪とあの男の関係へと注がれる。 一体、どういう関係が? 一体、何のために? そこまで考えて、堂々巡りを繰り返す。 結局、俺には関係ない、という答えに行き着く。 それより今は、佐久浪をどうやって籠絡するかを考えなければ。 いつの間にか映画ももう、エンドロールが終わる。