「どっか行くはずじゃなかったの?」 俺のその言葉に、佐久浪は寂しそうに呟いた。 「いいんだ、もう」 寂しそうな表情の示す先が気になったが、果たして初対面で突っ込んで聞いていいものか? そう思っても、俺は自分に正直で。 「どこに行くんだったの?」 口が勝手にきいていた。 「……結婚式」 ぼそりと呟いた佐久浪の顔が、大きく歪んだ。 誰の?とまではきけなかった。