俺は迷った。 今から追いかけようにも、どこへ行ったかわからないし。 警察は行きたくない。 かといって、アパートへ行くのも気がひける。 俺はしばらくその場で待ってみることにした。 幸い、俺には時間がたっぷりある。 道路の端に避けてしゃがみこんだ。 佐久浪が、財布を落としたことに気付いて、戻ってくることを期待して。