黒いハンドル…
洗車したばかりの高級車…

隣にはあの日と変わらない詩織の姿。

『何処行きますー?』
『佳晴くんは何処に行きたい…?』
『んー…遠出…?』

ハルが17歳だから出会って18年…?
「詩織を助手席に乗せたい」という夢、ようやく叶った…










『―…19歳?!』
『うん、3月になったら20歳になるの。』

海の見えるレストラン…
太陽の光をキラキラと反射させるレモンティーを飲みながら詩織は答える。

『ハルくんは?』
『俺はー…同じくらい…』

まさか4つも上とは…
幸い俺の方が誕生日が早く、今は3つだけど…

きっとバレたら子供扱いされる。
そう思ったら咄嗟に嘘をついていた。

それが子供だってのに…








『ねぇ、泳ぎたいねー!』

寒空の下…
波打ち際を歩く詩織が大きな声を出す。

いつも物静かな彼女の大声…
つい笑みが漏れてしまった。

『泳いじゃおうかな、俺!』
『風邪引いちゃうよー?』

風邪引いたって倒れたっていい。
だって今、すごく嬉しいんだ。

ようやく詩織の笑顔が見れた…

『思った通りやね! めっちゃ可愛い!』
『え? 何が?』
『笑顔! 今、初めて詩織が笑った!』
『…ッ』

自分で気がついていなかったのか詩織は真っ赤に染まった顔を手で覆う。


好き…
大好き…

ホストと風俗嬢という複雑な関係だけど、俺は気付いてしまった。

俺は詩織が好きなんだと…
俺は詩織が欲しいんだと…


『これからも… 詩織の時間、買っていいかな…?』


ねぇ、ハル…
ハルは俺をどう思ってる?

ホストで軽くて最低な父親。
そう思ってるだろう?

でも俺は…
俺は詩織に本気だった…