「小学校の時、体育の授業中に発作を起こしたんだ。

でもその時、周りが冷静に対応出来なくて…
ケンタは、危ない状態になって、窒息しかけたんだよ」

ケンタが…?

そんなに危険な状態になったなんて…

「それまで病気ときちんと向き合わず、
入院するたびに、うんざりしてたらしい」

タク君は続ける。

「でもその時、ケンタの母さんが泣いて取り乱したのを見て、ケンタは決めたんだ。

母さんにこれ以上心配かけないって。

きちんと治るまで、運動する時は気を使うようにしてきたんだ」

私はなんて答えたらいいのか、分からなかった。

「アイツは誰にも自分から病気の事は話さないよ。
アオちゃんにだってね。だから別に、アオちゃんを信頼してないとかじゃないんだよ?」

タク君は、私の気持ちを分かっていたんだ。

さりげなく、フォローしてくれた。

「うん…」