アイツの様子がおかしい。 高校受験を控えた、模擬テストの日。 前の席にいるアイツの背中を見て、 俺はアイツの異変に気付いていた。 微かに震える体。 苦しそうな息遣い。 風邪、か……? 俺はテストに集中なんて出来なくて、 葵に声をかけようと、 手を伸ばしかけた。 その時、アイツはふらふらと立ち上がり、そして、 後ろに卒倒した。 俺は見事な反射神経でその小さな体を、受け止めた。 あぶねぇ…頭打ったらどうすんだよ…