まだ手を繋ぐだけで、こんなに緊張する俺って、どれだけコイツに惚れてるのかと思う。


「ごめん、もう、泣かさないから…」


俺がそう呟いたそばから、葵は涙をためている。


「ケンタ…」

「ん…?」

「…好き」

「…知ってる」



この手をずっと離したくないと思う。


遠回りしたから、なおさらそう思う。


焦る事はない、二人のペースで進んで行けたらいい。


これからもずっと…



「だから、泣くなって」


こんなコイツの顔を見れるのは、俺だけでいたいから。



雨の中を、俺達はゆっくり歩いて行った。




「Fin.」