「あれ?もう帰っちゃうの~?葵ちゃん!」


「加奈さん、来てたんですか?」


加奈と葵は、今では仲良くなってしまった。


「ケンタ、ちゃんと家まで送り届けろよ、物騒だからな」


うるせぇな、兄貴。



でも、あの日に俺達の背中を押してくれた事には、感謝してるけどな。


外に出ると、雨が降っていた。


「自転車、乗れねぇな…。葵、歩きでいいか?」


「ん、大丈夫」


俺の傘を開いて、「ほら」と葵に差し出すと、葵は遠慮がちに入って来た。

「ねぇっケンちゃん!」


加奈が後ろから声をかけてきた。


「忘れ物!!」


加奈が渡してきたのは、

黄色い、傘。