俺は固まったまま動けないでいた。
「せっかく黙っててやったのに…お前が悪いんだぞ。加奈さんに変な責任感持たすから」
「…いつからそう思ってたんだ?」
俺はようやく言葉を吐き出した。
「そんなの…気付いてないのは本人達だけだって。お前がちゃんと告ってれば、なんの問題もなかったな」
信じられない…
葵が、俺を…?
「ケンタ、アオの事好きなら、あの先輩はなんなのよ!?」
ユカがまた怒る。
タクミが説明してるのが遠くで聞こえる…。
「加奈さんは、ケンタの兄さんの彼女だよ」
「じゃあ、嘘ついてたの?やっぱり最低じゃない!」
ユカは俺に向かって叫んだ。
「ねぇっ!多分今日、アオは佐々木と一緒に帰ったと思うんだけど、いいの?」

