ケンタに彼女が出来ても、

ケンタに友達としか思われてなくても、

前みたいに仲良くなれなくても…


もう嘘はつけない。


ケンタが、好き。


ただ、それだけなんだ。


「佐々木君…ごめんね…。私…、まだケンタの事忘れられないから…」


「葵ちゃん…」

佐々木君は、そっと私の体を離した。


「ごめんね、こんな事して…俺…何やってんだろう」

寂しそうな顔で笑う。


「友達からって自分から言ったのに、
そばにいたらどんどん欲張りになって…」


私が泣いてる顔を見て、ポケットを探る。

ハンカチを取り出して、私の手に握らせる。


「あ、しわくちゃだけど」

ちょっと焦る佐々木君を見て、泣き笑いになる。

「ありがと…」