「葵ちゃん!今日、なんか用事ある?」

佐々木君はすでに私を¨葵ちゃん¨と呼ぶようになっていて。

「ちょっと、佐々木!
いつの間にアオのこと名前で呼ぶようになったのよ!?馴れ馴れしい奴!」

ユカに突っ込まれていた。

ユカは佐々木君が来ると機嫌がさらに悪くなる。


「伊藤、なんでそんなに俺を嫌うんだよ?」

佐々木君も、めげずに言い返す。


「別に、用事なんてないよ?」

私がそう答えると、佐々木君は嬉しそうに笑う。

「じゃあ、一緒に帰っていい?」


「なんであんたと一緒に帰んなきゃいけないのよ!」

「伊藤に言ってねぇんだけど」

ユカと佐々木君が言い合う姿も、見慣れてきた。

こうやってケンタとの距離は遠くなって、

そばにいない事が当たり前になっていくんだろうか…。