そうして…

付き合い始めた二人を、ただ見つめるだけの毎日が続いていた。


今日は彼女の部活がないので一緒に帰るという二人の姿を、

私は窓際で見つめていた。


振り返って、頭を下げる加奈先輩の笑顔を、

やっばり可愛いと思ってしまって、なぜか嫌いになれない。


「ケンタが幸せならそれでいい」

そう呟いた私に、

「アオ…やっぱ馬鹿だわ。私には理解出来ない!」

ユカは苛々した様子で叫んでいた。



馬鹿だって思うよ?

でも、どうしようもないじゃない。

手遅れなんだもん…


「あ、また来た」


ユカが呟く。

教室のドアからこちらへ向かって来るのは、

あれからもよく私に話しかけてくる、

佐々木君だった。