ケンタは私を、ちらっと見た。 その顔は、何かを伺うような表情だった。 でも、何も言ってくれない。 「ほら、ユカ、もうHR始まるよ、行こ」 「う、うん…」 私はケンタに背中を向ける。 泣きたい気持ちを懸命にこらえて、席に戻る。 「アオ…ゴメン、私絶対ケンタが否定すると思ったから…」 ユカが申し訳なさそうに呟く。 ユカが悪いんじゃない。 悪いのは…きっと私。 「アオ!!」 ユカの声が聞こえる。 私は無意識に教室から飛び出していた。