「ケンちゃん…もしかしてこの傘、葵ちゃんの…?」 「……」 俺は答えられずに押し黙る。 「何があったの?この間から、ケンちゃん、ずっと悩んでるように見えるよ…?」 加奈の顔を見ると、泣きそうな顔をしていた。 「ちょっ…お前がそんな顔すんなって!」 俺は焦って立ち上がる。 「だって…ケンちゃんがかわいそうなんだもん」 かわいそうとか言うなよ。同情されると余計に惨めだ。 「何があったか話してよ。相談に乗るって言ったでしょ?」 加奈の真剣な眼差しに、俺の気持ちは揺らいだ。