母さんから何度も着信があったのはわかってた。
でも…

「雨が降りそうだよ…
帰ったほうがいい」

加奈は俺の顔を覗き込んだ。


「なぁ…加奈?」

「ん?」

「お前…そんなの持ってた?」


「あぁ、コレ?実はね~こないだ家の前の道路に落ちてて。
可愛い色だし、勿体ないから、勝手に拾っちゃったの」


俺は何回も見た事があったんだ。

アイツの一番好きな色の、

黄色の、傘…