ユカがそう言うけど、
それはさっきから却下してる私。

「ダメ!タク君には何も言わないでっ!」

だって、こないだの夜に私があの二人を見た事が、ケンタの耳に入ったら困るもの!


「あ」

ユカが声を出す。

「ケンタだ」

え!?
ケンタ?

ケンタが自転車を押して歩いてる。
退院したとは聞いてたけど、今日から学校来るなんて知らなかった!

久しぶりに見る彼。
ドキドキする心臓。

どうしよう…心の準備が出来てないよ…!


「ねぇ、アオ…」

ユカが下を見ながら呟く。

「…わかったかも」

と言ったユカの視線の先を辿ると…

「いた…」

ケンタより10メートル位後ろに、


あの人が、いた。