なんで?っていうタクミに、
「だってアイツ、携帯出ねぇもん」

俺はため息混じりに呟いた。


「あー…そうなの?」

タクミがニヤッと笑った。

「まぁ、落ち込むなよ。取り合えず、体治せよ」

タクミは立ち上がって、病室から出て行った。


「あぁ、あとな」

タクミが顔を覗かせる。

「アオちゃんの携帯、壊れたからつながんないって伝えてくれって」

じゃあな、とタクミは手を振る。


俺はペットボトルをドアに投げ付けた。


「てめ…ッそういう事は早く言え…!!」


だから繋がらなかったのか。

少し、安堵した俺だった。