『バカかよ、オッサン』

少女はツンとして言った。

『なあ、お前がさっき歌って歌はフレンズの“夢のかけら”だな』

『へぇ〜、オッサンはフレンズってバンド知ってるんだ…意外だな』

少女は少し驚いた。

『お前はフレンズが好きなのか?』

『別に』

少女はさらっと流した。

『お前の歌声さ…なかなか良いよな』

シュンは突然マジメな顔をして、少女の目を見つめた。

『な、なんだよいきなり…』

『お前歌は好きか?』

『はあ?いきなり何言ってんだよ、オッサン』

『だから、お前は歌が好きか嫌いか聞いてるんだよ。答えろ!!』

『歌が嫌いな奴なんか滅多にいないだろ』

『じゃあ、お前は歌が好きなんだな?』

『だったら何だよ?』

『お前さ、本気で歌を歌ってみないか?』

シュンは真剣な顔で少女に尋ねた。

『本気ってどういう事だよ?』

『歌手にならないかって事さ』

シュンは少女の目をじっと見た。