シュンはそのユキネの顔を見るたび笑みを零していた。

そしてユキネが歌い終わると、また座って聴いていた人たちが拍手を贈った。

『今日は歌を聴いてくれてありがとうございました』

シュンはみんなに頭を下げた。

ユキネは呆然と突っ立っていたが、シュンに頭を押さえられ、ユキネも渋々頭を下げた。

『ユキネ、あんたの歌良かったよ』

そう言って一人の女性がユキネに歩み寄った。

『ミ、ミスズ!!』

ユキネは目を丸くして驚いた。

『ふふふ、ユキネ…カンナが、カンナが勝手にグループから抜けるなんて許さないってさ』

ミスズはユキネの耳元でそっと囁いた。

『じゃあね、ユキネ』

そう言ってミスズはさっさと立ち去った。

『カンナ…』

ユキネは考え込みながら呟いた。

『なあユキネ。さっきのアイツお前の不良仲間だったよな?ストリート見に来てくれるなんて、良い友達だな』

シュンは笑顔で言った。

『あんな奴ら…友達なんかじゃないよ…』

そう言ってユキネはさっさと一人帰って行った。

『ふ〜ん…友達じゃないか…俺も帰るかな』

そう言ってシュンも帰って行った。