『うるさいよ里菜、そんなに驚くなよ』

シュンは里菜の驚き声がうるさくて、耳をふさいでいた。

『そりゃー、驚くわよ!!シュン、あなたバカよ。何で世界一って呼び声が高いルナティック・ゼロを脱退するのよ!!信じられないわ!!本当にバカよ、どうしようもない人間よ、もうクズね』

『…里菜、それはちょっと言い過ぎだろ』

シュンは里菜の言葉に軽く落ち込んだ。

『シュンが脱退して、メンバーは何も言わなかったの?』

『まあな。みんな良い奴ばかりだし…』

『ギタリストがいなくなった今、ルナティック・ゼロはどうなるのよ?』

『まあギタリストの心配はいらないよ。元々あのバンドは、一流ばっかが集められて、売れるためだけに作られた…いわば産業ロックのバンドだから俺がいなくなったら、また腕の良いギタリストを入れたら丸くおさまるよ』

恐い顔して聞いている里菜にシュンは言った。