『埼京…』

ユキネがそう呟くと、埼京はいきなりユキネを抱きしめた。

『ちょ、ちょっと何すんだよ…』

ユキネは戸惑った。

『こうやってお前を抱きしめてやったのも…ユキネが3歳くらいの頃以来だな…頑張ってこいユキネ。俺はお前の、ユキネのオヤジだ!!いつでも頼ってこいよ』

そう言って埼京は、抱きしめるのをやめた。

ユキネは少し照れた様子でうなづき、埼京が見つめる中シュンの待つタクシーへと戻った。

『さてと…運転手さん空港までお願いします』

シュンはタクシーの運転手に行き先をつげた。

そしてタクシーは走り出した。

『ありがとう…パパ…』

ユキネは窓ガラス越しに埼京を見て、一人呟いた。

隣に座るシュンは、ユキネのその言葉を聞き微笑んでいた。

そしてタクシーは空港へと走り続けた。

タクシーが空港に着くと、シュンとユキネはタクシーからおり、空港内へと入った。