『埼京…』

ユキネは埼京に気付き戸惑った。

『俺が連絡したんだ。お前まだ埼京にお礼言ってなかっただろ』

そう言ってシュンは、ユキネの背中をポンと軽く押した。

ユキネはシュンに背中を押され、埼京に歩み寄った。

埼京はそんなユキネをじっと見つめていた。

『さ、埼京…お礼は言わない。あんたはあたしとママを捨てたんだ…今回の事くらいで、あんたへの恨みが消える訳がない。だから今でもあたしはあんたを許さない』

埼京はユキネのその言葉を黙って聞いていた。

『あんたを許さないけど…』

ユキネはそう言ってうつむいた。

そして、また顔をあげて言った。

『あたしのいない間、ママの事…お願いします』

ユキネはそう言って埼京に頭を下げた。

『ユキネ…本当に大きくなったな。あいつの事は任せろ、だからお前は安心して夢を掴んでこい』

埼京はそう言ってニコッと笑った。