『ハ、ハナ!!』

ユキネは驚いた。

『誰それ?あたしは月姫 楓だよ』

小さな女の子はそう言ってニコッと笑った。

ユキネは一瞬ハナの幻を見たのだった。

『この花お姉ちゃんにあげる』

楓はそう言って、ユキネに白い花を渡した。

『スノードロップ…まだ咲いてたんだ…』

ユキネは受けとった花を見つめた。

『お姉ちゃんこの花知ってるんだ』

『ああ、友達の大好きな花だったんだ…。でもどうしてこの花をあたしに?』

『お姉ちゃん元気なかったから、この花見て元気出して欲しかったの』

楓は笑顔で言った。

『そっか…サンキューな』

ユキネは楓に優しく微笑んだ。

『スノードロップってさ、白い雪に天使が息を吹きかけて、それが地に落ちて花になったらしいよ』

『へぇー、そうなのか…』

ユキネはそう言ってスノードロップをじっと見た。

『春の兆しを知らせる花なんだ』

楓は誇らしげ言った。