『悪い…やっぱ…無理だ』

今のユキネには、シュンの気持ちが届かなかった。

『無理って…おいっ、ユキネ!!』

シュンはユキネの肩を掴んだ。

『うっせいよ!!ほっといてくれよ!!』

ユキネは声を荒げて歩き出した。

『ユキネ!!お前、夢を捨てる気かよ!!…もう知らねぇからな!!勝手にしろ!!』

シュンも声を荒げて立ち去るユキネに叫んだ。

そしてユキネは行くあてもなく、ただ街をぶらぶらさ迷い歩いた。

今のユキネの頭の中は、ハナとの思い出ばかりが浮かんでいた。

そしてユキネは日が沈み始めた頃に土手へとやってきた。

ユキネは土手に座り、ただボーっと沈み行く夕日を眺めていた。

『ハナ…』

ユキネは涙を零した。

そんなユキネの目の前に、スッと白い花を握りしめた小さな手が現れた。

『これあげる』

その声を聞き、ユキネは横をふと見た。