『それに…なんだよ?』

ユキネは続きが気になっていた。

『口止めされてたんだが…まあ良いっか。お前が逮捕された後、お前の父親の埼京優一がその女子高生の元に頭を下げに行ったんだよ。それでちゃんと治療費も払ったらしいぞ』

シュンは話始めた。

『それにな、お前のために弁護士も用意してたらしい』

『何で埼京が…何でアイツが…実の娘が逮捕されたのが、自分の人気に響くからか…』

『ちげーよ。埼京優一は本当にお前の事を思ってしたんだよ。本当にユキネが邪魔なら、国会を休んでまで、頭を下げるなんてしないし、わざわざ自分がユキネの父親だなんてバレるような事はしないだろう』

『でもアイツはそんな奴じゃ…』

ユキネは、母親が倒れた日の病院の入口で、埼京と会った時の事を思い返していた。

『ユキネ、お前は勘違いしてるぞ。埼京は家族思いの良い奴だ』

『でもアイツは、ママが倒れた日に自分は関係ないって…』

ユキネには埼京が二人いるように思えてならなかった。