『さあ、入れ』

警官はユキネを牢屋に入れ、鍵を閉め立ち去った。

ユキネは冷たい牢屋の壁にもたれ、ただ呆然としていた。

そして牢屋の小さな窓から、そっと月が顔を見せ、ユキネを照らしていた。

ユキネはそっと月を見上げた。

『ハナ…お前何で死んじゃうんだよ…』

ユキネはハナの事を思いながら涙を零した。

『お前…あたしに夢を託すって…卑怯だよ…勝手に夢を託して…勝手にいなくなって…ふざけんなよ!!』

ユキネはうつむき、声は震えていた。

『なあ…ハナ…。あたしはお前に何もしてやれなかった…何も力になれなかった…そんな自分が悔しいよ』

ユキネの涙は止まらなかった。

『お前はあたしに…見せかけじゃない本当の友情を教えてくれたのに…あたしの心を許せる大切な友達だったのに…どうして死を選んだんだよ…クソー!!』

この夜ユキネは、月が優しく見つめる中…儚く散ってしまったハナを思い続け、一晩中泣き濡れたのだった。