『オッサン…わかったよ。わがまま言って悪かったな…』

シュンの思いがユキネに届いた。

『けど、今回だけだからな…デビュー曲だけだからな、オッサン以外の人が書いた曲を歌うのは』

ユキネはそう言って、シュンに笑いかけた。

『ああ…』

シュンは大きくうなづいた。

『よし、レコーディングの続きをやるか。スタジオに戻るぞユキネ!!』

『うん…』

シュンとユキネはスタジオに戻り、レコーディングの続きを行った。

この曲を歌おうと心を決めたユキネは、心のうやむやがとれ、晴れ晴れとした澄んだ青空のような心で、いつも通り楽しそうに歌った。

ユキネの歌声に、いつものユキネらしさが戻った事に気付いたシュンは、楽しそうに歌を歌うユキネを見て、シュン自身も楽しい気持ちになった。

『やっぱお前の歌声は最高だよ…ユキネ』

シュンはそう呟き、ブース内のユキネをじっと見つめたのだった。