『そっかー、小林さんはユキネの歌声を聴いたことなかったもんな』

シュンは笑って言った。

『じゃあ、始めるぞ』

シュンの合図と同時に曲がスタジオ中に流れ出した。

ユキネは初めてのレコーディングで緊張していたが、ひと呼吸して歌い出した。

スタッフ達や小林誠吾はユキネの歌声に耳を傾けた。

『ストップ』

シュンのその言葉で曲が止められた。

『ユキネ、もう一度始めからだ。ちょっと深呼吸して緊張をほぐせ』

シュンはユキネに指示をした。

ユキネは言われた通りに緊張をほぐそうと深呼吸した。

『じゃあ、もう一度いくぞ』

シュンが合図をするとまた曲が流れ出し、ユキネは歌い出した。

『ストップだ』

シュンはまた途中で曲を止めた。

『ユキネ、Bメロのところ半音キーをあげようか』

そう言ってシュンがまた合図をすると、また曲が流れ始めた。