『あ、だけどオッサン…オッサンは曲書けたのかよ?』

ユキネは気になった事を尋ねた。

『…悪いなユキネ。どういう訳か俺は曲が書けなくなった…スランプって奴か…』

『曲が書けなくなったって…』

ユキネはシュンが心配だった。

『でもお前のデビューには何も問題ない。俺がお前のデビュー曲を書けなかったのは残念だが、ユキネには楽曲提供を受けた別の曲が用意されている…それがユキネのデビュー曲になる』

シュンはユキネにそっと笑いかけた。

『オッサンは…オッサンはそれで良いのか?あたしがオッサンの書いた曲以外を歌っても何も思わないのか?』

ユキネはシュンに尋ねた。

『ああ…お前にとってはそれが1番良い』

シュンは笑顔で言った。

『わかったよ…』

ユキネは少し淋しげに一言だけ残して去って行った。

『ふーっ…曲が書けないんだから…仕方ないよな』

シュンは淋しげに空を見上げ、歩き出した。